「勝負をしようか。ライ」
「勝負?」

ルルーシュの唐突な提案に、本を読んでいたライは首を傾げた。
ルルーシュは頷き、チェスの駒を並べだす。

「懐かしいな」

並べるルルーシュの向かいに移動して、ライも一緒に対極面を並べた。
その盤と駒は、クラブハウスに暮らしていた頃から持っているルルーシュの私物だ。
まだ記憶も戻らない頃、それを使ってルルーシュとライは結構頻繁に対局していた。
特区の仕事があった最近では、あまり手をつけていなかったが。

並べ終えて、二人は笑みを浮かべながら対局し始めた。
先番はライだ。
二人はしばらく無言のまま駒を交互に動かし。

「チェック」

最初の勝負は最後にビショップを動かしたライが勝った。

「さすがだな」
「お褒めに預かる」

二人は顔を見合わせて笑い、また、今度は逆の番で対局をし始める。
均衡を保ったその勝負は、機転を働かせたルルーシュの勝利となった。

しばらく、二人は先手を交互に変えて対局していた。

勝敗は互角、何度か連勝すると、次には何度も連敗する拮抗した戦い。
お互いの腕が互角であるがゆえに、二人は楽しくてしょうがない。

そうして、再びライが勝ち、勝敗がドローとなった時、時計が夜も更けたことを告げる鐘を鳴らした。

「もうこんな時間か」
「ああ。ずいぶんやりこんでいたんだな」

ライが時計を見て、ルルーシュは勝敗を書き込んだ紙を見て呟いた。
最近は色々と落ち着いてきたこともあって、初期の頃より仕事量は減ったが、明日もやる事が山積みなのは代わりがない。

「そろそろ休もうか」とライが切り上げ、お茶でも飲もうかと立ち上がった時だった。

「あと1勝負しようか」

ルルーシュがそう切り出してきた。
その目に含みが混ざっていることに気付いたライは首を傾げる。

「最後は賭け勝負でもどうだ?勝ったほうは負けたほうにどんなことでも命令できる」
「罰ゲーム付きか。面白そうだな」

ルルーシュの提案に、ライは乗り、

「・・・・・まさか、破廉恥なことを考えていないだろうな?」

ルルーシュの思考を勘繰って、ライは目を細めると、ルルーシュはさらに笑みを深くした。
こういう笑い方をする時のルルーシュは、大抵ライにとっていいことになった例がない。

「考えているんだな」
「止めたいのならお前が勝てばいいだろう?」

つまり、もし受けなかったら問答無用でライによろしくない結末が待っているということだ。

「しまいには嫌いになるぞ。ルルーシュ」
「お前が俺を嫌う日は一生来ないよ」
「自信家め」

ライの口元が、弧を描く。
それは誰もを魅了する麗しい笑みだった。

「僕が勝ったら、僕がいいと言うまで一生触らせないからな」
「いいだろう。俺が勝てば、お前がどんなに謝っても許してやらんがな」
「何をする気だ君は」

二人の間に不可視の火花が散る。

操か欲望か。
勝つのはどちらか。

そして、二人の戦いは切って落とされた。





・・・・・・なんかアホすぎてダメだ・・・・
なんでうちの攻はどいつもこいつも変態が入ってしまうんだろうか・・・超困る。
二人がチェスしてるのを書きたかっただけだった・・・
それだけだったんだ・・・・・