15 quindici








「それでだな。さっき決まったんだが、には俺たちの仕事を知ってもらうのをかねて、幹部のシキリを回って顔見せをしてきてほしい」
「え、なにそれめんどくさ」



ガッ



〜?素直なのもとーっても楽しいんだけどね。もうちょ〜っと場のTPOを、わきまえた、発言をしような?」
「う、は、はい。スミマ、セン」

頭をワシ掴まれてジャンににこりと微笑まれて、背筋に寒気が襲った。
本能のレベルで今はふざけた発言をしてはいけないと悟る。
素直にジャンに謝ると、頭を掴んでいた手が放されてジャンはふうと溜息を洩らした。

「当然だけど、実際お前に関しては不満の声も多いしな。
どこの馬の骨がボスを誑かしたんだって声もあるらしくてよ。めんどくさいから、自分でなんとかしてもらおうかと思って、さ」
「う…なんだよ。それ」


そんなに不信人物だったのか。
自分では善良にしてたつもり・・・だったんだが・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・つもり・・・じゃやっぱ駄目なのかなー・・・・


「でー、明日っからのローテーションなんだケド、まずイヴァン、ベルナルド、ルキーノの順でいくから。
 ジュリオは今日ついてったから除外ね」

「たっく、めんどくせえな。オイ新人!」

ジャンの言葉に頷くと、始めにと言われたイヴァンが罵声を浴びせてくる。
なんだ?と首を傾げると上から見下ろされ睨まれた。

「間違っても問題なんか起こすんじゃねぇぞ。その場で叩きだすからな」
「そんなこと言って〜、イヴァンちゃんが、いっちばん不安よね〜」
「だーっ!!茶化すんじゃねぇっ、このファッキン馬鹿が!」

ジャンに茶化されて、イヴァンの凄味が一気に砕け散った。


ああ、こいつ・・・しまらねえなぁ・・・・


可哀そうなイヴァンに同情の視線を送ってしまう。
そんな自分には気付かず、イヴァンは肩を怒らせてさっさと部屋を出てしまった。

「ほら、お前もイッテラシャイ」

あーと思う間もなくジャンに背中をポンと叩かれる。
世話になるのは明日からだが、挨拶しとけ、ということなんだろう。
今日の朝にも似たようなことがあったな、と思いながら「おう」とジャンに頷いて、イヴァンの後を追う。


「イヴァンは良い奴だぜ。ちょっと、・・・かなり?バカでやかましいけどな」


ジャンの言葉にもう一度頷いて、今度こそイヴァンを追いかけた。








とりあえず、明日の予定は聞いておかねぇとな。






(挨拶って・・・何すんだろ?)



あいさつ回り編突入。
2010.9.3