<試験風景> 試験期間も中頃、今日の内容は二人一組の戦闘シュミレーション試験だった。 パートナーはランダムに決められて、しかも発表は当日。くじで引いたシュミレーターの場所に行って、ようやく発覚した。 毎日見ている赤毛のショートヘア。自信にあふれた青紫の瞳。 俺のパートナーは、ルナマリアだった。 「あら、あたしのパートナー、だったの」 「よろしくなルナ」 街で偶然会ったみたいな感覚で挨拶を交わす。このままお互いのブースへ入るのかなと思うと、ルナは腕を組んでにっこりと笑ってきた。 「頼りにしてるわよ」 「・・・」 一瞬、自分の中の時が止まる。 「何その顔」 しばらくルナを凝視していると、機嫌を損ねたみたいに目を眇められた。 あー・・ああ。怒らせたい訳じゃないのに。 「いや、俺、今だにルナは俺をライバル視してるのかと思ってたから」 「してるわよ」 俺の言葉に、ルナはすぐに切り返す。 「でも今はお互い補い合うことが試験通過の道でしょ?」 違う?と訊ねるルナ。 「そうだな」と、俺も頷いた。 たとえどんな相手だって、今は仲間だから。協力した方が自分たちにとってさらにプラスになる。 理屈では分かっているけど、簡単にできないのが人間だから、そういう考えができて実行できるルナが改めてすごいと思った。 「それに、ライバル視なんて、相手の実力を認めてないとできないでしょ?」 「え?」 さらにつけたされた言葉にまた驚く。 ずっと俺に反感して、俺と張り合っていたルナ。 ルナはずっと・・・俺を認めていたのか・・・? 「買いかぶりだったなんて、思わせないでね。相棒さん」 にっこり笑う、ルナ。 余裕に満ちたその笑みは、誰かが戦いの女神だなんて、言ったこともあったっけ。 「期待に応えられるよう、精進するよ」 そう言って、右の拳を前に出した。 その拳にルナの拳が当たった。 俺にとっても心強い相棒だ。 よし。頑張るぞ。 |