<なんでもない日々> ショッピングモールから出てきた僕らは、外の天気に足止めを喰らっていた。 「うっわー、すごい雨」 バケツをひっくり返したってこのことを言うんだろうなぁ。って位の勢いで雨が止む気配もなく振り続けてる。 さらには雷も鳴っていて、近くだったり、遠くだったり、ひっきりなしに落ちていた。 傘を買えば雨は凌げるけど、これだけ雷が落ち続けている外を歩くのは危ない。 「これは当分立ち往生だね」 「最近の天気は限度ってもんを知らない勢いだよな」 嘆息交じりに言う。なんだかその言い方が可笑しくて、僕はつい笑ってしまった。 「あはは。そうだねっ・・・・うわ!!」 その時、すぐ目の前を大きな白光と爆音が轟いた。 瞬間的に目を瞑っていても分かる閃光と轟音。 目の前に雷が落ちたのだ。 「ぁ、びっくりした・・・どうしたの?」 雷が怖いなんてことはないけど、さすがに今のは心底驚いて胸を撫で下ろすと、の様子が変な気がした。 隣の弟に不穏なものを感じて尋ねると、片手で目を被って肩を落とす彼は、ただ一言。 「目がくらんだ・・・」 ボソリと、聞こえるか聞こえないかという小ささでそう呟いた。 僕らの間に、一瞬の間が空く。 外はまだどしゃ降りで、雷もまだまだ落ちてきていて、周囲の人たちは空を見上げたり他愛もない談笑をしている。 先に口を開いたのは僕のほうだった。 「って時々間が抜けるよね」 「万年どじっ子に言われたくねえ」 真顔で言うと、はむっと不機嫌に眉間に皺を寄せた。 その顔が可愛いなって思う僕はきっと重症だね。 そして、ぶつくさ文句を垂れる、目が見えなくなったの手を引いて、僕はまた店内へ入り、休憩ブースへと連れて行った。 「大丈夫?」 「まあな。このままもうしばらくしてれば治ると思う」 「あ、なんならお兄ちゃんがおんぶして帰ってあげようか?「謹んでご遠慮いたします」 ちぇーそんな速攻で却下しなくてもいいじゃないか・・・ それからしばらく、は何度か瞬きを繰り返し、視力が徐々に戻っていくのを確認して。ようやく安心するまで戻ったのか、ほっと肩を落とした。 その頃には雨も雷も弱まってきていて、これ幸いと僕たちは傘を買って外に出た。 「って、なぜアイアイ傘・・・」 「えっだって、勿体無いでしょう?2本買うの」 「まあ、そうだけどな・・・」 家に自分の傘があるわけだから、さらに増やしても勿体無い。そう思って、幅の広い傘を選んだんだけど。何か行けなかったかな? 「キラ、デカイ荷物よこせ。傘持ってるとバランス取りにくいだろ?」 「あ、うん。お願い」 さっきから風が強くて格闘していた僕から荷物を弟に引き取って貰って、僕は両手で雨から二人がなるべく濡れないように努力した。 「雨が降っても蒸し暑いね」 「汗か湿気かわかんねーよな」 「湿気だって思うほうがいいかなあ」 どうでもいいことを二人で話して。 二人で帰る家路。 それは、とても平凡な日々。 他愛もない日々。 |