<スキスキス> 「!!?」 「・・・・・・・・・あ・・・・と・・・・」 「それじゃあね!ヤマトくん」 固まったキラ。 呆然となる俺。 置き去りにした彼女。 去っていった彼女の姿が消えた後。俺はすぐにその場を離れなかったことを後悔した。 なぜなら。 「――〜〜っ!!あの子ダレ!!?」 「え?クラスの・・・・子だけど・・・・・」 「そうじゃなくてっ!何なのあの子!!」 半狂乱になる兄貴は俺の周りで俺を巻き込んでバタバタ暴れまわる。 原因はやっぱり・・・・あれなんだよなあ・・・・・ つと、添えた手の位置。 それを見てキラは顔を真っ赤にしてプルプルと震えていた。 明らかに怒ってる・・・・・・・・ なんで? 俺に? それとも今の子に? 「あの子はの何!?」 「は?・・・・・ただのクラスメート・・・」 「クラスメイトなら何されてもいいんだ!ふーんっ!!」 「・・・・・キラ?なんでそんな・・・・」 怒ってるんだ・・・・・・・? と、続けて言いたかった。 言えなかった。 キラので塞がれたから。 さっきのなんて比較にならないくらい俺は動揺する。 兄貴は離れない。 一向に離れない。 息が苦しい。 両腕が痛い。 爪が食い込む肩が痛い。 歯も痛い。 だんだん喉の奥・・・・・・というか舌まで痛くなってきた。 「クラスメイトなんかより仲がいい僕がしても、かまわないよね?」 まだ怒り口調のキラ。 それは違うと思うがと言いたかったが今の俺は息をすることで精一杯だった。 それでも俺の頭は正常に動く。 なんという傍若無人我侭放題。 怒りがこっちにまで感染したらしい。 ふつふつとわいた衝動を拳に乗せて、俺はキラを殴りつけた。 |