<おには・・・> 「おにはーそと!! ふくはーうち!!」 子供たちが元気いっぱいに豆をまく。 大人たちの掛け声と一緒に豆をまく。 節分である。 今日は近所の寄り集まりで節分が開かれていた。 鬼になっているのはご近所代表のお父さんズ。 子供たちは鬼の面をかぶったにお父さんズ向かって容赦なく豆をぶつける。 戯れだが恐ろしく痛い。 半分本気で逃げるお父さんズ。 追いかける子供たち。 それを見守り(自分じゃなくてよかった)と安堵し、イケニエに合掌するお母さんたち。 「いーい?としの数だけ豆を食べるんだよ?」 「おなかいっぱいたべちゃだめなのか?」 「うーん。せんせいは食べていいっていってないから・・・」 「・・・・・・4つしかたべれない・・・・」 「じゃあぼくの分食べる?」 「キラのはキラがたべなきゃだめだろ?」 それを無視してヤマト兄弟は二人の世界を作って豆を食べていた。 駆け回って無邪気に本気に豆を投げるのが普通の子供とは言わないが。 協調性がない二人だと、豆まきに飽きて帰ってきたアスランは思った。 「あ。アスラン」 「あ。じゃないだろ・・・」 二人の持っている枡の中はまだ豆が入っている。 「豆まきしないのか?」 「・・・・・・・・・・いまからする」 の不穏な空気に気付いたのは誰が先か。 あ。と誰かが声を上げた瞬間、アスランに向かって豆が飛んだ。 「。な、何してるの!?」 「おれとキラをじゃまするおにになげた」 ふん。とそっぽ向く。 あまりのことに、さすがのアスラン(自覚なしに沸点低い)も切れた。 地面にまかれた豆をにぶつける! それに応戦してもアスランにぶつけ返す!! 「ちょっ二人とも!!」 キラの静止も聞かず、二人は豆をぶつけ合う。 力の限り。 思いの限り。 それはもうケンカだった。 「もーーーーーーっ!! やめなさーーーーーーーーーーーーーーーーいっ!!!」 二人に向かってキラが豆をぶちまけた。 ぶちまけられた二人は突然のことに目を丸くした。 ぴたりと、全員の行動が止まる。 「ふたりとも鬼抱えすぎ!! 僕がはらったからもういないよね!?」 キラの形相か。 二人はただ無言で頷く。 それにキラは満足そうににっこりと笑って。 「じゃあ、仲直り!」 二人の手を握手させた。 しぶしぶ二人は 「「ごめんなさい」」 と謝った。 二人の仲直りにかけ付けてきていた大人たちが拍手する。 子供たちも三人の周りに寄ってくる。 キラは誇らしげに。 二人は気まずげに周りの反応を受け止めた。 |