<きみのこと> 「キラくんはすごいね」 クラスの子によく言われる言葉。 僕が感じるみんなとのへだたり。 吸収力がすさまじい頭 みんなよりいい運動神経 そつなくこなしてしまう感のよさ みんなが努力することが、僕は少しでよくて。 僕がすぐにできてしまえることが、みんなには難しくて。 その事が分からなくて、気持ち悪くて、嫌だった。 みんなと同じじゃない自分が、怖かった。 それが『コーディネイター』なのよ。と母さんに言われた。 『コーディネイター』ということが寂しかった。 アスランがいてくれてよかった。 彼は僕と同じかそれ以上に優秀だったから。 でも、分かれてしまった後は自分の特異さが浮き出てしまう。 みんなは僕にとって、護らなきゃいけない存在だった。 助けなきゃいけない存在だった。 手を貸したいと思ってしまう人たちだった。 だって、僕が手助けすれば、はやく終わったもの。 みんな喜んでくれるし、お礼を言ってくれるから、嬉しかった。 またよろしくねって言ってくれることが、笑ってくれることが嬉しかった。 だからみんなを助けなきゃって思った。 「そんなもん。いらねーよ」 でも。 その手を断る手があった。 どうして? 僕がいればすぐに終わるでしょう? 僕が手を貸せば、はやくすむでしょう? そうすれば嬉しいでしょう? 「自分の手でやるから、面白いんだろ?それに」 「おれは、あんたに協力する方が好きなんだ」 僕は、戸惑った。 誰とも違う、彼に。 だって僕はみんなと『違う』から。 『別』の物を持っているから。 だからみんなを助けられた。 「俺はお前が困るのは嫌なんだよ」 そう言って、差し伸べられる手。 気がついた。 彼は、同じ目線にいるのだと。 彼だけが、僕と同じ位置に立ってくれるんだと。 それに気付いた時、どれだけ嬉しかったかなんて、君は知らないでしょう? どれだけ安心したかなんて、知らないでしょう? ねえ。僕を護ってくれる君の存在は嬉しいよ。 でも、僕にも君を護らせてね。 だって。僕は君のお兄さんなんだから。 |