<弟が兄のハグを嫌がらない訳>





ぐりぐり


ぐりぐり


ぐりぐりぐりぐりぐりぐり





「キラ・・・・」

「なにー?」







「ウザイ」






小さな弟の一言に、彼は固まった。

そんな。
あのいつでも自分を慕ってくれていたが。
自分に向かってそんな言葉を吐くなんて・・・!!
これが、反抗期なのか!?


「いつまでも抱きついてるのウザイ。もう絶対するな」


もう一度はそう言って、ずっと抱きつかれて凝ってしまった肩から兄の腕を乱暴に振り払って逃げ出した。


「そんな・・・・・」


振り返らずに去っていくの背中を、絶望した気持ちで彼は見つめ続けた。

とても大切な癒しの場を奪われた彼は、母親に声をかけられるまでその場で呆然としていた。





それから彼は、可愛い弟の言葉を守って、極力弟に近付かないようにした。
近付けば絶対に衝動を止められないと思ったからだ。

とにかく彼は頑張った。

他人にはどうということでもないことを、彼は必死で守り通そうとした。

彼にとってはある意味死活問題だった。

それでも、に嫌われたくない一心で彼は頑張った。

どんなに無意識に可愛いが煽ってきても。

彼は耐えようと頑張ったのだ。








そして・・・・・・・・・・

















「それから俺は、とりあえずキラが抱きしめてくんのだけは許容しようと決めたんだ」

「待て待て。一番肝心なことを言ってないぞ」

話し終えた俺に、カガリが突っ込んできた。
それを俺はにっこりと笑って

「俺の話はこれで終わりだ」

切って捨てた。

あんなトラウマ、誰にも教えるはずないだろう。
家族の恥だ。

そんな俺に、何かにたじろぐ様にカガリは「わかった」と引き下がった。
なんで汗かいてんだろうな。
今日は涼しいのになあ。


まぶしい青空を見上げて、俺は一口コーヒーを啜った。









キラにとってのの存在