<風邪>




基本的に、コーディネイターというものは病気になりにくい人種である。
身体能力も何もかも、始めのパラメーターはナチュラルよりも上になる。

かといって、まったく体調が悪くならないと言ったら、そんな訳はない。


やはり子供時代は免疫力がないのも、当然といえば当然なのだ。







「うえ・・・うええ・・・・・うえええっえええええええっ」

「うるさい・・・」

扉の外から聞こえてくる声に、おれはうんざりとため息をついた。
何か考えるだけでいたい頭痛がさらに痛くなるのに、ずっとつづく泣き声ががんがんひびく。

外にいるのはもう見に行かなくてもわかる。キラだ。
いつもはいっしょのへやでねてるけど、今日はおれがカゼ引いたから、かあさんが入っちゃダメだって言ってキラを追い出した。
そのせいでキラはああなった。

「キラ、ほら。今日はお母さんたちと一緒に寝ましょう?」

かあさんが来たらしい。泣き声がほんの少しおとなしくなって、俺はほうと息をついた。

「やだ。やだ。ここにいる・・・のいちばんちかくにいるうぅ」

でも、どうやらキラのせっとくはできなかったらしい。何かがドアにぶつかる音がなんかいかした。

「キラまで風邪引いたら大変でしょう?」
「でも、の具合がもっと悪くなったらどうするの??」
はちゃんとお医者さんに見てもらったから大丈夫よ」
「そんなのわかんないもぉん!!」

またうわああああとキラが泣く。
げんなりしながら、かあさんとキラのとうろんを聞きつつ、おれは、ムリヤリ寝ることにした。




そうして、その朝。


わがままで勝ちのこり、ドアに居座ったキラは、朝になるまでずっとドアのところにいた。
負けたかあさんはせめてと布団を持ってきてくれていたけど、結局、かあさんの心配はあたってしまった。

「うふふふふ。これでもうさびしくないよね〜」
「キラ・・・・・・バカ?」

自分がさびしかったからか、おれがさみしくならないようにか。
どっちでも、なんでわざとカゼひくことするのか。

どうしようもない兄をみおろして、おれはそういってやった。