<けんか>
に突き飛ばされて、キラは後ろに倒された。
あまりに唐突だったせいでキラはしたたかに後頭部を打ち、肩も打った。
「!なにしているの!?」
呆然としていると、カリダが騒ぎを聞きつけて駆けつけてきた。
突き飛ばしたは、両腕を突き出したまま、キラを睨みつけていた。
可愛くて大きな茶色の目には涙が溜まっている。
なんで突き飛ばしたの方が泣きそうなんだろうかと、キラはぼんやりとを見上げていた。
「キラ、大丈夫? 、どうしてお兄ちゃんにこんなことしたの?」
キラを起こしたカリダはに問いかける。
あまり怒ることのないカリダだが、口調は強く、はカリダに見つめられてぐしゃりと表情を崩した。
ぼろぼろと咳を切って泣くは、今度は頬を膨らませ、ぶるぶると震えだした。
「だって・・・っうく・・きらがっ、わるいんだ」
涙ながらに訴えて、は自分は悪くないと主張する。
「おれのっ、くみたてブロック、・・・・きらが・・・・つくっちゃったんだもっ・・・ひっく、うわあああぁぁぁぁーーんっっ」
とうとう大泣きして吐き出した理由に、カリダはああ・・と納得した。
昨日2人にと、買ってきた人気のブロックを与えたのだ。
キラはその日の内に完成させたが、には少し難しかったらしく、うんうんと唸りながらも、楽しそうに組み立てていた。
続きはまた明日と部品と一緒に子供部屋の隅に置いておいたのだが、それをキラが完成させてしまったらしい。
子供らしいその理由に、カリダはどうすればいいかと考える。
この場合はどちらにも非がある。どちらかを怒ることはできない。
「キラ、が楽しみにしてたの、知ってたでしょう?」
「だって・・・おいてあったから・・・」
できあがっていたらが喜ぶと思っていたらしい。ぼそぼそと悪くないと言うキラの目も、大泣きするにつられてか、見る見る内に潤ませていく。
「は1人で作りたかったのよ。キラも、楽しみを取られたら嫌でしょう?」
「・・・ふぇ・・・うあーんっ ごめんなさぁぁいっ」
とうとう泣きだして、キラはカリダにすがりついた。
はまだ1人で大泣きしている。
カリダはを優しく引き寄せて、キラを片腕で抱きとめたまま、の頬を撫でた。
「も、キラを突き飛ばしたらだめよ。キラが怪我したら、も嫌でしょう?」
「やだ!きらのせいだもんっ」
キラに対して、はまだ腹の虫が治まらないらしい。
ぎゃんと吠えて、は抵抗した。
「、ごめんねぇ」
むずがるへどうするかと考えると、キラがへ向かって手を伸ばし、へ謝った。
カリダが触れている方の頬とは反対へ、キラの手が触れて、は声を立てるのをやめた。
「きらなんか、・・・・きらいだっ」
「・・・」
ぼろぼろと涙と鼻水をこぼして睨むに、キラもぐちゃぐちゃになった顔を歪めていく。
突然、がカリダの胸に飛び込んだ。
「ごめん・・なさああい・・・」
小さく、しゃくり声のなかに埋もれて聞きとりずらいその声は、それでもカリダとキラの耳に届いた。
また泣き声を上げると、それを抱きしめるキラを抱いて、カガリは二人をなだめるために背中を叩いていた。
END
|