茶色が・・・・茶色が俺を襲ってくる。 「おい!!!大丈夫か!?しっかりしろ・・!!」 「――――――はっ」 シンに揺すられて、俺は目を覚ました。どうやら気絶していたらしい。 むせかえる甘い匂いと胸が焼ける嫌悪感。 机の上で解けて液体になろうとしている生チョコを見つめ、俺は頭を振った。 そして、まだ開いてない箱へ手を伸ばす。 「お、おい。もういいだろ?・・・なんでそこまでするんだよ」 「止めないでくれシン・・・俺には果たさなければならない使命が・・・・・・・・・あ・・・・・」 たらり 鼻の下に違和感。 拭うと手のひらが真っ赤に染まっていた。 チョコの食べ過ぎで鼻血出すって・・・・ホントだったんだな。 だが、今この手を止めてはいけない。 止めてはいけないんだ・・・・ 「もうやめろ!このままじゃ、っこのままじゃお前が死んじまうぞ!」 「止めるな・・・!俺は・・っ・俺は・・・っ!・・」 明日までチョコを見たくないんだ・・・・・!! その夜中。とある部屋からいつまでもいつまでも呻き声が聞こえ続けた。 ―――――――この出来事は、バレンタインの恐怖として、ザフト仕官学校の七不思議伝説として語り継がれたという。 |