気がついたら目の前が映画村だったら、あなたはどうしますか? 1、素直に喜ぶ 2、とりあえず仮装しなきゃと店に駆け込む 3、自分のほっぺたを捻ってみる 考えなくても3でしょう・・・・ 脳内で展開したそんな選択肢をコンマ3で回答したあたしは、自らのほっぺたをつねって現実であることを確認した。 「えええええええ」 そんなバカな。 もう一度抓ってみる。 やっぱり痛い。千切れそうなくらい引っ張ってるからめっさ痛い。 両頬をつねって見上げた青空。そしてそこにのんびりと漂う船。 そう。船。正確に言うなら屋形船。それと四角い箱。 ワタクシが知る限りじゃ空を飛ぶのはプロペラ持ったのかジェット機なんだけどねぇ。 さらに指に力を込めて前を向くと、電信柱に人ごみに長屋。 うん。映画村だもん。電線くらいあってもいいよ。電柱もないとね。現代昨今電気がなければなーんにもできないもん。 でもさ・・・・・スタッフとかエキストラにしてもさ。 犬の顔とか、タコっぽい顔とか、なんかたとえようのない姿とか、爬虫類っぽいのとか、息吸えてるのかなぁなんて心配になっちゃうくらい生々しい魚型のとか。 そんなの、映画村にいたっけか? しかもみんなリアルで。作り物とは思えなくて。 わーすごいねー最近の特殊メイクってホントに本物に見えるんだね〜 でもさ〜なんかすごい見たことあるんだけど。平面で。 そうそう銀の魂って書くどっかの漫画みたいな感じ〜 わぉ。 正にそんな世界じゃなーい? 「あはははははははははははははははははははははは」 乾いた笑いが、勝手にあたしの口から出た。周りの人はドン引きしてた。そりゃそうだ。 ・・・・はは。とりあえず落ち着こう自分。現実逃避は時間の無駄っぽいよ。 そうそう。そこの御茶屋でお団子を一本とか買って・・・・ 「おいねーちゃん!!あぶねーーーーーー!!」 「はい?」 キュキキキキキュキュキュキキーーーーーーーーーーーーーーッッ ドンッと、その後に続く重い音。 振り向いた先にいたそれは、白と黒のコントラストの車。簡単に言えばパトカー。 そしてそのパトカーは、あたしの真後ろ一cmも間の無い状態で急停止していて。 ・・・・・・・腰が抜けた。 「おいおいねーちゃん。なーにしてやがんでぇ。天下の車道で突っ立ってたらあぶねーだろーがぃ」 ・・・・・・・・ 「それともあれかぃ?轢かれたいとでも思ったのか?Mかコラ」 ・・・・・・・・・・・・・・・ 「とりあえず公務執行妨害で逮捕な。ハイ連行」 ひょい。 ・・・・ひょい? 「え・・・・」 気がついたら景色が180度回転。 パトカーが視界から消える。そして車の中にモノのように投げ入れられる。 「はああああああああああ!!??」 許容量オーバー。許容量オーバー。 当頭脳は間もなく爆発いたします。 「もぉいみわかんないいいいいいいいいいいいいいいいいいいいっっ!!!!」 誰かの叫び声と一緒に、あたしの視界は暗転した。 中編へつづく! |